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2007/10/17  水の観察(野外)

 

副題―水には様々な現象が投影されています。観察はまだまだ続き、発見もまだまだ続きます。 

 

   

 


今日は楽しい野外観察。テーマは「水」。場所は、ラウムのすぐ近くを流れる室見川の少し上流が選ばれた。

 

福岡市の西区と早良区を分ける室見河(1級河川)は、広く長い河畔公園を抱え、桜並木、白魚漁、アサリ取り、野鳥の飛来も多く見どころの豊富な、四季を通じた市民の憩いの場所である。  

 

秋晴れの抜けるような青空の下、時折ふいてくる心地良い風を肌に感じながら、皆で歩いた約2時間 …何と良い時間を過ごすことができたことか。神様に感謝したくなった。

 

 


室見河畔に着いて、先ずは前回の「節穴」実験の余韻もあってか、木漏れ日を紙に映して観察を促す井手氏。…いくつもの層となって映る木漏れ日は美しい。何度見ても同じ像はひとつもなく、毎回新たな感動をもたらされる。

 

しばらくそこで過ごして、では川に向かう…かと思いきや、途中に小さな橋があり、その下を流れるクリークの水を観察するために立ち止まる。…井手氏の得意な自然観察、どうやらそこかしこのあらゆる事象に興味をそそられるらしい。

 

んっ?しかし待てよ、これはウォーミングアップかもしれないな。観察する際には絶対必要不可欠な、「ある種の意識状態」というものがある。皆がこのモードへうまくシフトできれば、その観察会は成功したと言っても過言ではなく、井手氏はそのことをよく知っているのだからして。

 

…で、やはりクリークでの体験は、次の観察のために有用な材料を提供し、また、わずかな時間の中で基礎となるものの見方を訓練させてくれた。

 

 

 

 

 

クリークを流れる水は浅いため、そこに現れている色や形をクリアに認識することができる。しかし逆に、一つひとつが鮮明であるために、目くるめくような複雑な現象が次つぎと生み出されることになる。

 

shadow…reflection…mirror…light…blaze…prism 

 

水底に貼りついた光と影の織り成す模様がある。

 

かと思えば、水面に映る風景があり、無数の太陽が反射する。しかし視点が移動すればすぐにその像は消えて、別の像が現れる…水面には波という形があり、異なる種類の映り込みも複合的に変化するからだ。

 

 

 

 

 

 

 


秋の日の、静かな木陰で繰り広げられる光と影の相克…そこでは光が影を食うと言う。

 

水面では反映の空が、鮮やかな青に、時には紫色に輝く。

 

散り散りの太陽はいつしか重なり合い、白い反射面を作る。

 

ま昼の陽光を浴びて、蜘蛛の巣の描く虹色の同心円。

 

目をこらせば、私の影の頭から放射状に広がる後光が見える。

 

パノラマの空の彼方には、今だ猛々しい積乱雲とジェット気流、極薄の雲。

 

見るもの、聴くもの、触れるもの、感覚界の全てが渦となり、その真ん中にいる私の内側にも、さらなる渦が生まれ出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   

  

 

◆この講座の詳しい内容は らせん教室講義録に掲載されます。講義録は参加者が書き、それを井手氏が最終的にチェックしています。

 


ここで紹介する内容は教室のほんの1部、Gaonの個人的感想にすぎません。ご興味をお持ちになり、もっと知りたいと思われる方は、是非一度、教室にご参加ください講義録も出版されています。詳細はらせん教室HPにて。

 

 

 

 

※水面下に映り込む光の芸術作品だが、↓携帯写真では全然撮りきれていない。井手氏と坂本氏が上等なカメラで撮った写真があるので、らせん教室講義録、もしくは ペロルのつれづれ に掲載されるのではないかと期待している。

 

 

 

 

 

    

さて、観察も佳境に入り、いよいよ井手氏があらかじめ選んでいたと思しき場所に誘導された参加者は、その光景に一瞬固ずを呑んだ後、同様に歓喜の声を上げた。

 

中州によってなだらかな高低差のついた(比較的浅い)川底一面に、美しい光の波模様が投影されいて、それが輝きながら、生き物のように絶え間なく揺らめいていたのだ。

 

これは波がレンズになることで光の屈折現象が起き、その結果映し出されたものだと言う…波そのものは見えないくらい透き通った水だ。

 

お天気が良かったことも幸いして、太陽光が強いため、それはそれは煌いて…その美しさときたら、もうたまらない。光の現象には、とても言葉では表現できないような不思議な魅力がある。こちらは幻惑されて、この世ならざる領域に引き込まれるような… 


 

 

しかし、そうして静かに見とれていると、だんだん他のいろいろな現象が見えてくる…目線をずらすと、一つひとつの波の中に、さらに小ジワのような極細の波形が刻まれているのがわかる。

 

水そのものの大きな動きもつかめる…何てダイナミックなんだろう。小さな魚たちがつくる無数の波紋と、それらの映り込みも…全てが渾然一体となりながら、一方で大小やら長短やらの絶妙なリズムを生み出している。

 

井手氏が水底を指し示して「あれは何だと思います?」…言われて急に見えてくることがやたら多いのだが、確かに光の縁取りのある丸くて黒い影が、あまり波の立っていないあたりに多く認められる。

 

現れては滑るように動いて、すぐに消えるその丸い影の正体は、一体何だったのか?…教えたいけど教えられない!(ケチでごめんなさ~い)。そしてこの後も、井手氏の発見は果てしなく続いた…

 

水の流れと波のちがい、渦の性質とその影響、水に映る世界と本物の世界、水面の光の反映のそのまた反映、水の濁りと私たちの感情のかかわり…もっとあるが、全てが新しく、示唆に富んでいるものばかり。贅沢な2時間だった。

 

もっと詳しく知りたい方には、体験が一番です。ぜひ一度教室に参加なさることをお勧めします。

 

 

 

 

 

この↑写真は、川の中に立ったKさんの足が水の流れを遮ることによって、そこから生まれるカルマン流を観察しているところ。写真では判らないが、クリアに確認できて感動!

 

最初は井手氏が、水の深さの「見かけ」と「実際」を比べる実験をしていた時に、たまたま流れにさした竿から出てくる渦=カルマン流の影を発見したところから始まった。影がなければ、それと気付くことは難しい。

 

カルマン流については、テオドール・シュベンクの著書「カオスの自然学=混沌とした渦」、もしくは「らせん教室講義録」を読むとよく解ると思う。

 

 

…さて、まさにざざーっと流れるようにレポートしたが、それにしても今回、改めて「水」の現象の多様さに驚いた。

 

これまでも何度も水の観察会に参加してきた中で、海とはまた異なる発見や癒しをたくさん与えてくれた川の「水の観察」。今後また、同じ川が、季節や時間帯、気象など、条件の変化によってさまざまな姿を見せてくれることだろう。

 

  


最後に個人的余談。

最近とても忙しく疲れていることもあって、ちょっと逃避モードに入りかけていた私は、今朝、ラウムに向かう道すがら、突然の疑問に襲われ、こう自問自答した…

 

―らせん教室は実際にとても役に立っているし、すごく面白いし、いつも楽しみなんだけど、こんな忙しい時にまで観察なんか(ごめんなさい)に出掛ける私は、それでいいのか?それってひどく呑気なんじゃないのか?

 

でも次の瞬間、思い出した。ドイツのシュタイナー系の場所で出会った人たち、それからヴィンター先生やボッケミュール先生のことを(もちろん井手先生のことも)。

 

―皆さん、お金持ちではないけれど、それぞれの人生を心から楽しみながら、ゆったりと生きていらっしゃるという感じがして、その雰囲気がどの辺りから生まれてくるのかと、ひそかに観察させていただいた。

 

そして、その視線の先にあるものに行き当たった(…と思った)時、私はまるで自分が肯定されたような、とても爽快な気分になった。…先生方の畏敬に満ちた眼差しの見つめるところ、それはこの愛すべき世界、謎に満ちた(人間も含めた)自然界だった。まるで、尽きせぬインスピレーションの源をそこに求めるかのように…。

 

しかも、雑事をおろそかになさっているふうは微塵も感じられず、日常においてはむしろ淡々と、地道に仕事をこなしていらっしゃる姿が印象的で、それら全部をひっくるめた存在の「イメージそのもの」が答えとなったようだ。

 

それで晴れて大手を振っての参加となり、終えてやはり大正解!明日へ向けてリフレッシュ。今は新たな精神の活力を得ることができたと、感謝している。

 

                       2007/10/17 Gaon